
はじめて桑原弘明氏を知ったのは、『澁澤龍彦事典』に寄せられたオブジェ、「胡桃の中の世界」と「卵の中の世界」がきっかけでした。(そいえば『パーテル・ノステル少年の科学』の鈴木秀ヲ氏を知ったのもこの本からでした。)箱の中に整然と収められた卵たち。割れた殻の中から覗くのは、赤い小鳥、鍵穴、時計、螺子、青い扉、小瓶。これらの卵オブジェで私の心は完璧に撃ち抜かれました。上の画像は、氏によるポストカード、「CLOCK」と「だから予感よ現れよ」。「アンモナイト」と「漆箱―鍵」を合わせた4枚セットで
「オブジェ本」へ。

また、その桑原氏のミニアチュア幻想オブジェの集大成とも言える「スコープ」を集めた、『スコープ少年の不思議な旅』は
「箱本」に。
――ミステリアスな真鍮小箱。側面には三つの円い穴が開いている。そっとその穴に懐中電灯の光をあててみる。私たちはこの小さな箱の中に驚異を見ることになる。――夜の帳が落ち、天使卵は孵化し、巨大結晶は焚火で燃え輝く。――小箱の中の恐ろしく精密なオブジェで構成された空間。それらは光の角度と方向によって変化する。
白日夢/フェルメール/セロ弾きのゴーシュ/鏡/scope/黒い男/窓辺/雨音/玉虫厨子/子供の部屋/深みの中へ/微かな記憶/窓辺の午後/密かな中庭I/密かな中庭II/中庭/滝/ピラネージ/ねじれた記憶/現れよ/惑星/天使卵/ノスタルジア/月の光/夜のとばり
小箱につけられたタイトルも印象的。小箱の中の小さな部屋、の開かれた窓、の奥に見える噴水庭園。噴水庭園の奥にも世界は広がっているのかもしれない、鏡の中の鏡のような眩暈を覚え、私の探していた「ここではないどこか」はここかもしれないとさえ思った。
その他、特設展示に「アリスの本」をアップします。